重要なのに知られていない!?ストレスと呼吸は関係している
不安、緊張、ストレスを感じた時、無意識に呼吸が浅くなったり速くなったり、反対にリラックスすると深くゆっくりとした呼吸になるのを感じたことがあると思います。
不安、緊張、ストレスを感じて呼吸が浅くなる状態が続くと、呼吸筋が強張り、呼吸の効率が悪くなります。呼吸筋が強張ると呼吸が浅く、速くなり、さらにそれが不安、緊張、ストレスを増幅するという悪循環に陥ることがあります。
しかしそれに気づき意識的にゆっくりと深く呼吸をすることで、心の落ちつきを感じることができるのです。
そもそもストレスとはどんな状態のこと?
ストレスとは、外からの刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。 外からの刺激には、環境的要因(天候、騒音など)身体的要因(病気、睡眠不足など)心理的要因(不安、悩みなど)社会的要因(人間関係、勤務多忙など)があります。
大脳皮質でストレスと認知された刺激は、自律神経系、内分泌系、免疫系を介して全身に伝わり、様々な病気の原因になると言われています。
呼吸の役割
身体を動かす重要な要素の1つに酸素があります。この酸素を肺で体内に取り込み、細胞で消費し、老廃物となる二酸化炭素を体外へと排出するという一連の仕組みを「呼吸」と言います。
そして深くて大きな呼吸のことを「深呼吸」と呼びます。1回の吸う息、吐く息が通常よりも多い呼吸のことです。
体をコントロールしているのは「自律神経」
自律神経という言葉を一度は聞いたことがあるでしょうか。自律神経とは内臓や代謝、体温といった身体の基本的な機能をコントロールする神経のことです。自律神経には、身体を活発モードにする交感神経とリラックスモードにする副交感神経の2種類があります。これらはアクセルとブレーキの関係にあり、場面に応じてどちらかが優位になり、身体のあらゆる働きをコントロールしています。
自律神経が乱れるとどうなる?
自律神経は、脳の視床下部という場所でコントロールされており、自分の意志ではコントロールができない神経です。
アクセルの役割を持つ交感神経が働きすぎてしまった場合、心臓がドキドキする、息苦しくなる、疲れやすい、呼吸が速くなる、汗が出やすい、筋肉が硬直し、痛みや張り感を自覚する、などがよく聞かれる症状です。
ストレスなどが原因で、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れてる状態が継続するとしばしば治療が必要となる場合もあります。
自律神経がストレスによって正常に機能しないことによって起こるさまざまな症状の総称を自律神経失調症と言います。
「我慢」をすることが自律神経を乱す原因だった!
自律神経を乱すことなく生活するには、規則正しい生活と過大なストレスを避けるということが重要となってきます。
「仕事だからやりたくないけど続ける、頑張る」など、本能や感情を理性によって抑える状態が続くと、交感神経が常に優位のままの状態となります。すると副交感神経が抑制され、リラックスができなくなり、疲れやすい、眠れないといった様々な身体の不調を起こします。
不規則な生活でバランスを崩す
人間は日中活動し、夜間に休息するように通常作られています。夜更かしをすると視床下部の機能が乱れ、リズムが崩れてしまいます。睡眠不足が続くと、成長ホルモンやインスリン、ストレスホルモンと呼ばれるステロイドホルモンなどのバランスが乱れます。これがさらに自律神経の乱れを増悪させます。
自律神経でコントロールできるのは呼吸だけ
前述した通り、自律神経は交感神経と副交感神経という相反する働きの二つの神経から成り立っており、交感神経はアクセルの役割のため昼間に優位になりやすく、副交感神経はブレーキの役割のため、夜間や睡眠中に優位になりやすいと言えます。
ストレス社会といわれる現代の日常生活では、浅く短い呼吸を無意識的に行っていることが多いと思われます。呼吸は自律神経の中で唯一、回数や速さを自分でコントロールすることができます。
深呼吸をすると、副交感神経を刺激し、交感神経優位の身体を一時的にリラックスした状態にする効果があります。
1日数回深呼吸をして、交感神経と副交感神経のバランスを整えていくことが大切です。
深呼吸で副交感神経を優位に
まずは大きく息を吐くこと。これによって、副交感神経の働きが高まりやすくなります。大きく息を吐くと、自然と息を大きく吸うことができるのです。吐くときにはお腹をへこませ、吸うときにはお腹を大きく膨らませるという腹式呼吸を行うと、効果的な深呼吸ができます。口から吐き、鼻から吸う方法がやりやすいかもしれません。深呼吸は、いつでもどこでもできる簡単なリラックス方法になります。
緊張、不安、ストレスを感じた時、深呼吸を数回繰り返してみましょう。このときは吐くことと吸うことだけに意識を向けてみてください。
深呼吸を続けることで気持ちが落ち着き、全身の緊張が楽になる感覚を感じることができたら、それだけでも十分リラックス効果があると言われています。
効果的な深呼吸の方法
一度息を吐ききった状態にし、鼻からゆっくり息を吸い込みます。慣れないうちはすぐに吐きたくなってしまいますが、少し我慢し、息を吸うことに意識を集中します。
手をお腹に当てて、お腹が膨らむのを感じるまで、深く息を吸い込みます。背筋を伸ばして立った状態、もしくは座って背筋を伸ばした状態で行ってみてください。
吸うときよりも吐くときは時間をかけるイメージで行うとよいでしょう。慣れないうちはお腹を軽く押してあげると腹式呼吸がしやすくなります。口から息を細く、ストローの穴に空気を通すように吐いていきます。このサイクルを5回程度、繰り返してみましょう。
呼吸筋を広げてみよう
緊張や不安、ストレスで呼吸のための筋肉が縮まっていることがあります。そんな時はストレッチをして呼吸筋を広げてあげるとよいでしょう。
両手を胸の前で軽く組み、手のひらを身体の内側に向けます。一度鼻から息を吸い、次に息を吐きながら、目線をおへそへ向けるように、組んだ手を前へ伸ばしていきます。 肩甲骨の間の筋肉がぐっと伸びる感じを意識しましょう。吐ききったら息を吸いながら元の位置に戻ります。これを数回繰り返します。
Well-being 健康な日々を
深呼吸を生活に少し追加することで、副交感神経を優位にし、リラックスできる時間を増やすことができます。ストレスはうつ病、自律神経失調症、適応障害など様々な身体の不調、トラブルの原因となります。ストレス解消のためにも、意識的な呼吸を心がけてみてください。
私たちはただ病気にならないために生きているのではありません。健康な状態を長く保つことによって自分にとってより良い人生、満たされた人生を送るために生きているのです。医療はwell-beingな生き方を支えるための一つのツールなのです。
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