今日もつかれたー。って毎日言ってるわ。と思っている方。
職場のあの人はいつも元気なのに、自分はどうしてこんなにしんどいのか。と思っている方。
もしかしたらそれは、栄養不足が原因かもしれません。
今日は、不足すると慢性的な疲労につながる栄養素のお話しです。
炭水化物の代謝にはビタミンB1が必要
炭水化物の働き
最近、糖質制限が流行っているので、「なんか炭水化物って身体に悪そう」、「できるだけとらない方がいい」、というイメージをもっているかたも多いかもしれません。しかし炭水化物は身体にとってとても重要な栄養素です。
炭水化物は身体の中で分解されて最終的にブドウ糖になります。
このブドウ糖は、脳の栄養源になります。脳はブドウ糖とケトン体しかエネルギーとして使用できません。
つまり脳を働かせるためにブドウ糖は必須の栄養素となるわけです。
ブドウ糖をエネルギーとして利用するために
そのブドウ糖をエネルギーとして使うために、必要になるのがビタミンB1です。ブドウ糖は解糖系・クエン酸回路・電子伝達系という三つの仕組みを経てエネルギーに変換されます。このときにビタミンB1がないとブドウ糖からエネルギーをつくりだすことができません。
つまり、ビタミンB1が不足していると、炭水化物を必要量摂取していたとしても、エネルギーとして利用することができないため、身体の中でエネルギーが不足する状態となっていまい、慢性的に身体がだるくなったり疲れやすくなったりするのです。
神経障害
脚気・ウェルニッケ脳症
ビタミンB1の不足は、エネルギー不足になるだけでなく、神経障害も引き起こします。
それが脚気です。脚気とは江戸時代に多く見られた疾患で、ビタミンB1の摂取不足による抹消神経障害のことです。
なぜ江戸時代に多く見られたかというと、江戸時代とくに江戸の人たちは白米を好んで食べていたからです。ビタミンB1は玄米(精製していない米)に多く含まれるため白米ばかり摂取することでビタミンB1不足となり、脚気を発症することが多かったのです。
今は江戸時代と違って他にもたくさん食べ物があるし、そんな時代遅れの病気にならないだろうと思うかもしれませんが、現代でもビタミンB1不足になることはあります。
極度に糖質の多い食事をしている、またアルコール依存症の人などはビタミンB1不足になることが多いです。
糖質の多い食事をしている人は、その大量の糖質を代謝するためにビタミンB1もたくさん必要となるため相対的に不足しやすくなります。
またアルコール依存症の人は、アルコールばかり飲んで食事をあまりとらない傾向にあるため、ビタミンB1不足となることがよくあります。またアルコール自体が神経に悪影響をおよぼす可能性もあるといわれています。そして、ビタミンB1不足は脚気という末梢神経障害だけでなく、ウェルニッケ脳症という中枢神経障害も引き起こすことがあります。
わたしも病院でアルコール依存症でウェルニッケ脳症として運ばれてきた患者さんを何人もみました。
ウェルニッケ脳症は治療しなければそのまま死に至るものです。単なる栄養不足が死につながることもあるのです。
また脚気心というビタミンB1不足からくる心不全も起こる可能性もあります。
イライラする
ビタミンB1の不足は精神的にイライラしやすくなることがあります。
先ほどビタミンB1不足により、糖質からエネルギーをつくれなくなると説明しました。
身体はエネルギーが不足していると感知すると、なんとかエネルギーをつくりだそうとします。
体内では糖質をグリコーゲンという形で蓄えていますが、そのグリコーゲンを糖質(グルコース)にかえてエネルギーをつくろう!と考えます。その指令はアドレナリンというかたちで発出されます。
つまりエネルギー不足→アドレナリン出す→グリコーゲンをグルコースにする。という仕組みを発動させようとするわけです。
アドレナリンはみなさんご存じかと思いますが、興奮作用があります。ビタミンB1の不足がアドレナリンの放出につながり、アドレナリンによりイライラしたり怒りっぽくなったりするというわけです。
どうやってビタミンB1をとったらいいのか
玄米
毎日食べる米を白米から玄米にかえることで、コンスタントにビタミンB1を摂取できます。いちいちビタミンB1が不足しているか気にする必要はなくなるで、栄養管理としては簡単ではないでしょうか。
私はもともと白米が大好きで、地球が滅亡する最後の日は白米の塩おにぎりを食べようと思っていたくらいだったのですが、最近は毎日玄米を食べています。最初は少し慣れない感じがしましたが、毎日玄米を食べていると、逆に白米ではなんだか物足りないようになりました。
豚肉
しかしどうしても白米じゃないと食べられない。白米をこよなく愛しているため、玄米を食べるなんて生きている意味が無い。と感じる方は、豚肉を積極的に食べるとよいでしょう。
また鰻にもビタミンB1はたくさん含まれています。しかし鰻の蒲焼をたくさん食べましょうなんて、身体に良くても家計に大ダメージをおよぼすでしょうから、豚肉が一番食卓に取り入れやすいかなと思います。
野菜
また野菜でいうと、えのきや舞茸にも比較的多く含まれています。
えのきは、地域にもよると思いますが、私の家の近くのスーパーでは一株だいたい100円をきっています。しかもえのきは洋食和食ともに使えますし、利用しやすいのではないでしょうか。
ビタミンB1で疲れ知らずに
寝てもつかれがとれない。いつも疲れていたり、すぐに疲れてしまうというかたはビタミンB1がふそくしていないか一度、ご自分の食生活をふりかえってみてください。
とくに甘いもの(糖質)をたくさんとっている方、カップラーメンやジュースがメインの食事というような偏食の方、アルコールの摂取量が多い方は普段の食事内容をチェックしてみることをお勧めします。