コロナ感染・重症化リスクが高まる基礎疾患とは?
2021.08.27
体の健康
収束がみえないコロナ(COVID‐19)との闘い。ニュースでコロナというワードを聞かない日はありません。また基礎疾患があるとコロナに感染しやすかったり、重症化しやすいってテレビでよく聞きますよね。
どうして基礎疾患があると感染リスク・重症化リスクが上がるのでしょうか。
様々な基礎疾患があるなか、今回は糖尿病をピックアップしてその理由を解説します。
白血球と高血糖
ウイルスや細菌をやっつける好中球
白血球はいくつか種類があります。細菌など異物を食べてくれる(貪食といいいます)のが好中球という白血球です。白血球のなかまのうち、約半分はこの好中球です。
好中球の機能低下
好中球には、ウイルスや細菌などの異物を感知して突撃していく(遊走という)能力と異物を食べてやっつける貪食という能力があります。 血糖値が高いと、この好中球の機能が低下してしまいます。異物を食べてやっつける貧食能は,血糖値が 250 mgdl以上になると急速に低下します。
高血糖は抗体をつくる能力を下げる
人の体はウイルスなどの病原体(抗原)が体内に侵入すると抗体をつくり、次の感染に備えます。ワクチンはまさにこの抗体をつくるシステムを利用した予防法です。
リンパ球の機能低下
抗体をつくるのはリンパ球とよばれる白血球です。リンパ球は病原体(抗原)のタンパク質の構造を覚えて、その病原をやっつけるための抗体を作ります。
しかし、血糖値が高いとこの抗体をつくる働きも低下してしまうのです。
高血糖による血流低下
高血糖と動脈硬化
高血糖状態では、糖が血管に付着しその糖とタンパク質が反応して活性酸素を発生させます。するとその活性酸素により血管壁が傷つけられます。そうやって、高血糖状態が続くと、動脈硬化が進行していくのです。
また血液中に糖分が多いと、血液の粘性が増加します(いわゆる血がドロドロになるというやつです)。
動脈硬化や血液の粘性が高まることで、血管内の血流は悪くなります。すると白血球が感染部位にいくことが難しくなったり、必要な栄養を運ぶことが難しくなります。また抗生剤などの薬剤についても、血流が悪い部分には届けることが難しくなるため、薬の効きが弱くなることも考えられます。
戦場に物資が届かない
感染部位はいわば身体の中の戦場です。
動脈硬化や血液の粘性が高まっているということは、戦場までの道が狭くなり、またたくさんの車で渋滞しているような状態です。
そんな状態では戦場に、兵隊(白血球)や食べ物(栄養)、武器(薬)を届けられません。
戦場が不利になるのは当たり前ですよね。
高血糖による炎症増幅
高血糖になると、炎症性サイトカイン(免疫細胞にがんばって働けという命令)が増加します。
適度にがんばれという分にはよいのですが、過剰にサイトカインが分泌されすぎると免疫系の異常をきたします。
また逆に感染によっても炎症性サイトカインは分泌されます。炎症性サイトカインはインスリンの効き目を弱める作用があるので、さらに血糖値が上がるという悪循環に陥ります。
炎症を必要以上に増幅させないためにも、血糖のコントロールは重要になってきます。
以上のような理由で、高血糖状態はコロナなどの感染症にかかりやすくなったり、治療を難しくするリスクとなるのです。
それでは、糖尿病にならないためにはどのような食生活を心がけたらよいのでしょうか。
糖尿病と生活習慣についても今後解説予定ですのでお楽しみに。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/102/4/102_856/_pdf