いまさら聞けない「生理」とは?生理の基本を詳しく解説!

女性には月に1-2度、ホルモンサイクルで起こる”生理”と呼ばれるイベントがあります。毎月のものだから慣れているという女性もいれば、PMSや生理痛が重く、憂鬱になるという女性もいるでしょう。敏感な男性ではパートナーや同僚の様子がいつもと違う様子に気づくこともあるかもしれません。今回は男性にも女性にもわかりやすく生理の基本を解説していきたいと思います。

「生理」とは?どんな状態のことをいう?

生理は医学的用語では月経と呼ばれています。女性の身体は月に1-2回、卵巣から卵子を排出します。これが排卵です。子宮では排卵に合わせて子宮内膜を厚くし、受け入れ態勢を整えます。卵子が受精しなかった場合、厚くなった子宮内膜は不要になるため、剥がれて身体の外に出されるのですが、この時身体の一部が剥がれるため、出血を伴います。この現象が月経、生理と呼ばれるものです。

生理は、女性ホルモンの影響で起こる

生理のサイクルを作っているのが、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンです。生理が終わってから排卵までは卵胞ホルモンの分泌が多い時期で「卵胞期」と呼ばれます。排卵後から生理までは黄体ホルモンの分泌が多くなり、「黄体期」と呼ばれます。

生理の時に起こるつらい症状とは

腹痛

子宮の中では生理が始まる少し前から、子宮を収縮させる働きを持つホルモンであるプロスタグランジンが分泌されます。プロスタグランジンは経血を子宮外に排出させるためになくてはならない物質ですが、痛み、熱、腫れを引き起こす成分としてもよく知られています。このプロスタグランジンの作用によって、腹痛となって症状が現れます。

腰痛

生理痛の一つである腰痛も腹痛と同様に、プロスタグランジンの分泌が多すぎることで起こります。プロスタグランジンの働きで子宮や子宮周囲の血流が悪くなってしまい、骨盤の周りを中心にだるさや痛みが起こります。

頭痛

生理中の頭痛は、女性ホルモンの一つである卵胞ホルモンの分泌量が関与しています。卵胞ホルモンは生理前に分泌量が減少し、それに伴い脳内物質のセロトニンも減少してしまいます。このセロトニンの減少によって、頭痛が起こるのです。生理中の頭痛の特徴は、通常見られる偏頭痛よりも症状が長く、痛みも強くなる傾向にあります。

吐き気

吐き気も、プロスタグランジンの分泌量に影響して起こる症状になります。プロスタグランジンは胃や腸も収縮させてしまい、胃や腸が収縮すると胃に不快感が起こり、それが吐き気となって感じられます。

貧血

生理中にめまいや立ちくらみなどの症状を感じることがありますが、自律神経が乱れ脳貧血が起こるためと考えられています。生理による経血量が多すぎる場合には鉄欠乏性貧血になっている可能性もあります。

イライラ

生理前や生理中に起こるイライラや不安感などは、卵胞ホルモンの減少によって起こっています。卵胞ホルモンには心も身体もリラックスさせる働きがありますが、生理期間中はこのエストロゲンの分泌量が減少します。

眠気

排卵後から生理直前の黄体期は、黄体ホルモン分泌が増加し、眠気を起こしやすくなります。黄体期は基礎体温の高温期にあたるため、体温が高めの状態が続くことに関係すると言われています。

便秘や下痢

排卵から生理が始まる間までは、子宮の収縮を抑える黄体ホルモンが多く分泌されますが、このホルモンは子宮の収縮を抑えるとともに腸の収縮運動も同時に抑えてしまうので便秘になりがちになります。そして、生理始まると黄体ホルモンが減少して便秘症状は解消されますが、今度はプロスタグランジン分泌され子宮だけでなく腸にまで作用して腸を異常収縮させてしまうため、下腹部痛を伴う下痢が起こることがあります。

生理が辛いときどうしたらいい?生理痛に関係している病気とは?

生理が辛いとき、症状を改善するためにできることはあります。辛い中に病気が隠れている可能性もありますので、気になる場合には一度婦人科に受診してみましょう。

月経困難症(月経痛)

月経時には、多くの女性が下腹部痛・腰痛などの痛み(月経痛)がありますが、日常生活に支障をきたすほどのものを月経困難症といいます。下腹部痛や腰痛、頭痛など様々な部位に痛みが見られます。痛み止めを飲んでも効かない、生理の度に寝込んでしまうことがあるなどの症状が強い場合は一度婦人科に受診してみましょう。痛み止めの効果的な飲み方、漢方、ピルなどのホルモン剤で症状を軽減することができます。

月経の量が多い(過多月経)、月経が長い(過長月経)

通常より生理の期間が長いことを「過長月経」といいます。生理期間は通常3日~7日で、8日以上は過長月経になります。出血量が多い月経を「過多月経」と言います。昼でも夜ようのナプキンを使っていたり、普通のナプキンでは1時間持たないことがあったり、出血の中にレバーのような塊がある場合は月経過多の可能性があり、子宮筋腫、子宮線筋症などの子宮の病気がある可能性があります。

月経不順

月経周期は25~38日が一般的です。期間が短い場合、長い場合は排卵がうまく起きていない可能性があり、卵巣からのホルモン分泌が不十分な可能性があります。初経から間も無い場合、閉経が近い場合にはこのようなことが起こりやすくなります。多嚢嚢胞性卵巣が原因の場合や、急激なダイエットによる体重減少やストレスによるホルモンバランスの崩れが原因になっていることもあります。また、甲状腺の機能異常が原因の場合もあります。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。女性の3人に1人にできるありふれた病気で、がん化することはありません。過多月経、月経痛、腰痛などの症状が良く見られますが、無症状の人もいます。

子宮内膜症

子宮内膜またはそれに似た組織が子宮内膜以外の場所で発生し増殖する病気で、症状は月経痛と不妊です。

まとめ

女性も男性もあまり生理について話し合うことがないかもしれませんが、毎月起こるイベントだからこそ、少しでも知っておくとよいでしょう。パートナーがいる方は是非一度、生理について話し合うのもお勧めです。生理は女性のからだのバロメーターです。何かおかしいかも、と感じたら検査を受けてみましょう。

参考資料

日本産科婦人科学会

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