「SNSの投稿を増やしたほうがいい」
「広告を始めれば、問い合わせが増えるかもしれない」
「動画やLINEにも取り組むべきではないか」
集客や売上に課題を感じると、新しいマーケティング施策を増やしたくなるものです。
もちろん、必要な施策を実行することは大切です。しかし、目的や課題が曖昧なまま施策を追加すると、やることばかりが増え、何が成果につながっているのか分からなくなることがあります。
マーケティング施策を始める前に整理したいのは、「目的」「現在地」「伝える相手と価値」「実行体制」の4点です。
この4点を整理すると、今やるべき施策と、今はやらなくてよい施策が明確になります。
施策を増やしても、成果が増えるとは限らない
マーケティングの手段には、SNS、広告、Webサイト、記事、動画、LINE、メール、PR、イベントなど、さまざまなものがあります。
選択肢が多いからこそ、成果が出ないときに「まだやっていない施策」を探してしまいがちです。
しかし、成果が出ない原因は、施策の数が少ないこととは限りません。
- 何を達成したいのかが決まっていない
- お客様がどこで止まっているのか分からない
- 発信する内容が媒体ごとに異なっている
- 実行や改善を担う人が決まっていない
このような状態で施策を増やすと、社内の負担や外注費は増えても、成果につながらないことがあります。
施策を選ぶ前に、まずマーケティング全体を整理してみましょう。
1.マーケティングで何を実現したいのか
最初に整理したいのは、マーケティングの目的です。
「売上を増やしたい」という目標だけでは、具体的な施策を決めるには十分ではありません。
売上を増やすために必要なのは、新規のお客様を増やすことなのか、既存のお客様の利用頻度を高めることなのか、客単価を上げることなのか。
目的によって、取り組むべき施策も、確認すべき数字も変わります。
新規顧客を増やしたい
認知、見込み客との接点、問い合わせまでの導線を確認します。
リピートを増やしたい
購入後のフォローや、再来店・再購入のきっかけを確認します。
客単価を上げたい
商品構成や提案方法、価値の伝え方を確認します。
「SNSを始める」「広告を出す」といった手段から決めるのではなく、その施策によって何を実現したいのかを先に言葉にすることが大切です。
最初に確認すること
- 事業として、今期に達成したい目標は何か
- その目標に対して、マーケティングには何が求められているか
- 新規顧客、リピート、客単価のうち、どこを伸ばしたいか
- 成果を判断するために、どの数字を見るか
2.今、どこで止まっているのか
集客がうまくいかないと、「もっと多くの人に知ってもらわなければ」と考えがちです。
しかし、本当の課題が認知不足とは限りません。
お客様は、会社や商品を知ったあと、興味を持ち、自分に必要かを検討し、他の選択肢と比較しながら問い合わせや購入へ進みます。
- 会社や商品を知る
- 興味を持つ
- 内容や価値を理解する
- 他の選択肢と比較する
- 問い合わせる
- 購入・契約する
たとえば、Webサイトへのアクセスが少なければ、認知を広げる施策が必要かもしれません。
アクセスはあるのに問い合わせが少ない場合は、サービスの違いが伝わっていない、事例が不足している、問い合わせ方法が分かりにくいといった可能性があります。
問い合わせはあるのに契約につながらない場合は、集客ではなく、ターゲット設定や提案内容、商談の進め方を見直す必要があります。
どこで止まっているかを確認する表
| 確認する段階 | 見るポイント | 考えられる課題 |
|---|---|---|
| 認知 | 表示回数、検索数、アクセス数 | 会社やサービスを知られていない |
| 興味・理解 | 閲覧ページ、滞在時間、読了状況 | 価値や違いが伝わっていない |
| 比較・検討 | 事例閲覧、料金ページ、資料請求 | 判断材料や信頼材料が不足している |
| 問い合わせ | 問い合わせ率、フォーム離脱 | 導線が分かりにくい、心理的負担が大きい |
| 契約 | 商談化率、成約率 | 集客対象と提案内容が合っていない |
すべての数字を細かく分析する必要はありません。まずは、お客様がどこまでは進み、どこで止まっているのかを確認するだけでも、優先すべきことが見えてきます。
3.誰に、どのような価値を伝えるのか
SNSや広告を始めるとき、「何を発信するか」から考えることがあります。
しかし、その前に整理したいのが、誰に、何を伝えたいのかです。
届けたい相手が変われば、必要な情報も、響く言葉も、適した媒体も変わります。
たとえば、同じサービスでも、課題にまだ気づいていない人と、複数の会社を比較している人では、知りたい内容が異なります。
- 誰の、どのような課題に応えられるのか
- その人は、どのような状況で困っているのか
- サービスを利用すると、何が変わるのか
- 他の選択肢とは何が違うのか
- 依頼する前に、どのような不安を感じるのか
自社の特徴を並べるだけではなく、お客様にとってどのような価値があるのかまで整理することが重要です。
よく起きる失敗
SNSでは親しみやすさを伝え、Webサイトでは専門性を強調し、営業資料では別の強みを説明している。
それぞれの制作物に問題がなくても、伝える相手や価値が統一されていなければ、会社として何が強みなのか分かりにくくなります。
施策ごとに内容を考える前に、すべての施策に共通する「伝える軸」を決めておきましょう。
4.誰が、どのように実行と改善を続けるのか
最後に整理したいのが、実行体制です。
どれだけ良い戦略をつくっても、実行する人がいなければ成果にはつながりません。
一方で、実行担当者がいても、優先順位を判断する人がいなければ、依頼された作業をこなすだけになってしまいます。
社長がマーケティングを兼任している企業で起きやすいこと
社長自身がマーケティングを担当している企業では、次のようなことが起きがちです。
- 本業が忙しくなると、発信や改善が止まる
- 施策の判断がすべて社長に集中する
- 思いついた施策から始まり、優先順位が変わりやすい
- 外注先はいても、全体を管理する人がいない
- 結果を振り返る時間を確保できない
この場合、さらに施策を増やすよりも、誰が判断し、誰が実行し、どのタイミングで見直すのかを決めるほうが先です。
施策を始める前の実行体制チェック
- 施策の目的と優先順位を決める人がいる
- 制作や配信を担当する人がいる
- 社内確認に必要な時間が確保されている
- 毎月確認する数字が決まっている
- 結果を振り返る日が決まっている
- 社内で行うことと、外部へ任せることが整理されている
社内に専任担当者がいない場合、すべてを自社だけで行う必要はありません。
社内で担う役割と外部へ任せる役割を分け、無理なく続けられる体制をつくる方法もあります。rasikuの支援体制や社内との役割分担については、サービス・支援の進め方でご紹介しています。
SNSを始める前のチェックリスト
SNSは始めやすい施策ですが、目的が曖昧なまま運用を始めると、投稿を続けること自体が目的になりやすい施策でもあります。
アカウントを開設する前に、次の項目を確認してみてください。
- SNSを使って達成したい目的が決まっている
- 届けたい相手が具体的になっている
- 相手に伝える価値や強みが整理されている
- SNSから次に進んでもらう導線がある
- 投稿を企画・制作・確認する担当者が決まっている
- 無理なく継続できる更新頻度になっている
- 何を成果として確認するか決まっている
- 一定期間後に振り返る予定がある
すべてに答えられない場合は、投稿をつくり始める前に、目的や体制の整理が必要かもしれません。
施策の数より、事業目標とのつながりを整える
マーケティングで大切なのは、施策をたくさん実施することではありません。
- 何を実現したいのか
- 今、どこで止まっているのか
- 誰に、どのような価値を伝えるのか
- 誰が、どのように実行と改善を続けるのか
この4点が事業の目標に向かってつながっていることが重要です。
整理した結果、SNSが必要だと分かるかもしれません。Webサイトの見直しや、営業資料の改善を先に行うべきだと分かるかもしれません。
新しい施策を増やしたくなったときこそ、一度立ち止まり、現在地と優先順位から考えてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
打田 沙織|株式会社rasiku 代表取締役
成長企業のマーケティングチームとして、事業や顧客、現在の課題を整理し、戦略設計からSNS・広告・Web・PRなどの実行と改善まで支援しています。
社内にマーケティングチームがなくても、
戦略から実行まで進められます。
rasikuは、成長企業のマーケティングチームとして、現状の整理から施策の実行・改善まで支援します。
